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なぜ遅く繫殖するようになるのか

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サケのように生涯の最後に1回しか繁殖しない生物を想定しましょう。飽和した環境では、自分が占めている現在のポジションを自分の死後、できるだけ自分の子供に置き換わってもらうほうが利益になるということはなんとなくわかります。さてこのとき、自分が死んだ後に自分の子供がとって代われる確率が2分の1だとしましょう。寿命が1年だとすると、1年後に自分の子供が自分に取って代わっている確率は当然2分の1ですね。では、さらにもう1年後に自分の孫がそのポジションを占めている確率はいくつでしょうか?そう、2分の1掛ける2分の1で4分の1です。ここで寿命が2年に延びた突然変異体位が現れたとすると、その変異体の子供が2年後にその個体のポジションを占めている確率はやはり2分の1です。さて、4分の1と2分の1はそちらが大きいですか?いうまでもありませんね。これは自分の子供が自分に置き換わる確率(ここでは2分の1)にかかわらず成り立つ結論です。そう、安定環境では、世代時間が長いほうが自分のポジションを自分の家計で継承し続けられる確率が高くなります。つまり安定な環境の下では、増殖速度に対してではなく、入れ替われるチャンスを持ち続けることのできる持久力に対して自然選択がかかっているのです。(縮む世界でどう生き延びるか?長谷川英祐著より)

しかし、人間の場合は、繁殖期間があるということです。実際繁殖期間内での、後にずれる傾向があるとしても、その期間に子供をつくらないと、子供ができないことになる。

そして、持久力である、親の平均余命は、ぐんと伸びている。しかし、持久力があるからといって、現実を考えると、うまく社会がまわっているとも考えられない。会社に関してでも、中小企業白書(2017年)によると、2015年時点で、70歳に達している経営者は34万人、2025年までに70歳になる経営者は約58万人、これらを含めると、約93万人を数える。経営者が高齢になると、売り上げが減少するという問題がある。そして、旧廃業や解散の状況をみると、2016年で2万9583件(前年比8.2%増)で過去最多になっている。また経営者の年齢を確認すると60歳以上が82.4%(2016年)占めこれも過去最高になっている。廃業した会社の半分が黒字経営といわれている。

日本企業の、約3割で後継者が決まっていないとも言われている。これらを、みても、うまく世代交代ができていないということかもしれない。(未来の年表2 河合雅司著より)

55歳以上の人が、多く資産を持っているといいます。その資産を、若い人に移転できないかということを議論されるところです。しかし、日本の高齢化は、高齢者の絶対数がふえるだけでない。今後貧しい高齢者が増え、無年金、低年金の高齢者が増えていくともいわれている。失われた20年で、非正規労働がふえていることを考えると理解できやすい。現在の40代にも同様のことがいえる。

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