発達心理学のある研究者が、次のような話をどこかに書いている。チンパンジーの子供と、人の子供に、実験者の行為を真似て、箱の中にボールを入れるように指示すると、両者ともほぼ同じ正確さで真似をすることができた。実験を繰り返しても、大きな差は出てこなかった。しかし、3回目の実験をしようとしたとき、人の子供は、実験者に向かって「ねーおじさん、なんでこんなことするの」と聞いたというのである。もちろんチンパンジーはしゃべれないから、聞こうにも聞けなかったのかもしれない。しかし、このエピソードを紹介している心理学の研究者は、「この、なぜ、という質問を発するか発しないか、というところが、人間とチンパンジーの一番大きな違いなのではないだろうか」と書いている。チンパンジーとは遺伝子レベルで2%少々しか違いのない人間は、この2%の遺伝子の違いを、言語能力だけでなく、こうした「なぜ」という心理的な気持ちを起こす能力の獲得に使っているのではないか。( 「脳科学」の壁 榊原洋一著より)といっています。
どんな会社・部署でもトラブルは付きものだろう。トヨタもまたしかりであるが、そこで働く社員には強力な武器があり、「5回のなぜ」です。
トラブルに直面したとき、トヨタ社員は「なぜそれが起きたのか」を繰り返し考える。すぐに思いつく答えを安易に結論とせず、真の原因を探ることが目的ということです。トヨタ生産方式の生みの親である元副社長の大野耐一氏が提唱したと言われる考え方で、トヨタ社員は新入社員のときから徹底して叩きこまれるそうである。
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