国内の自動販売機普及台数を見ると、2021年末時点で約270万台となっています。他のデータでは、400万台~450万台ともいわれています。
国内の自動販売機生産動向を見ていくと、設置が飽和状態にある中、生産台数も減少傾向にあります。ここ10年余りで、全体ではピーク時の約33万台(2012年)から約16万台(2021年)と半分程度まで減少しました。
用途別では、飲料用が8割以上を占めており、次いで日用品雑貨用、たばこ用、食品用、最も少ないのが券類用(乗車券、食券・入場券他)となっていますが、いずれも1割未満であり、飲料用が圧倒的に多いということです。
上記で述べたように全体的には減少傾向です。
自動販売機市場衰退の背景においては、人口の減少が最たる原因とされています。しかし、缶コーヒーがコンビニエンスストアでの「淹れたてコーヒー」に取って代わられたことや、ネットショッピング、宅配代行サービスの浸透によって時代が変化し、ライバルが増えたことも大きく関わっているようです。
しかし、その中で自動販売機販売増加が続いているのが「食券・入場券他」用です。19年末時点の「食券・入場券他」の普及台数は4万5400台で、前年から5.1%伸びています。飲食店においては、持ち帰り商品における軽減税率導入への対応や提供スピードの向上、人件費の削減等で需要が拡大するとともに、新型コロナウイルス感染症拡大以降においては、非対面決済ニーズの高まりなどにより導入が進んでいることがうかがえます。
また、「食品」用も2021年に大幅な増加が見られました。感染症拡大以降、飲食店等がお店と同じ味、質の高い食材を提供する、新たな販売スタイルとして急増したことが考えられます。利用者は、お店の味が、深夜でも購入でき楽しめるということで、女性にも人気がでているようです。(日経新聞より)(経済産業省ホームページより)
日本は世界でもトップクラスの「自動販売機大国」です。市場規模は5兆円をはるかに超え、中でも飲料の自動販売機は全体の半数近くを占め、その売上高も2兆1千億円を突破しているようです。
世界をみると世界で最も自販機台数が多い国は米国で、約645万台となっています。
しかし、人口や国土面積を勘案すれば、実質的な普及率では日本が世界一といえるようです。
そして、市場が飽和したということで自販機事業から撤退する企業も現れています。
自動販売機国内シェアが2割のサンデンは、自販機事業を含む流通システム事業子会社(サンデン・リテールシステム、群馬県伊勢崎市)を19年10月に投資ファンドに売却し、自販機事業から撤退した。そして、売上高当時537億円で現在642億円(2021年度)となっている。
面白いことに、上記企業が分社化したとたんに、うまく商品開発が進んでいたと考えられますが、新製品を投入して順調に売り上げが伸ばしているようです。
設置台数を急速に増やしている自動販売機の1つとして、今話題沸騰中なのが、『サンデン・リテールシステム』上記企業が製造および販売を手掛ける冷凍自動販売機の「ど冷えもん」です。2019年から開発を進め、2021年1月に発売して以来、全国で導入が広がっています。設置が始まった2021年に緊急事態宣言が発令されたこともあり、当初の販売目標を超え、2022年3月末には全国で3,000台以上が設置されるまでになっています。ど冷えもんが支持されている理由は、使い勝手の良さにあるようです。幅の異なる4種類の収納棚を用意し、扱う商品の大きさに合わせて選択できる。複数の収納棚を組み合わせることで、1台の自動販売機の中で異なる大きさの商品を販売することも可能で、最大11種類、308個を収納できるという。また、販売状況や在庫確認を遠隔で行えて、電子マネーやQRコード決済にも対応しています。電源も家庭用100ボルト電源でよく、特別な工事は不要なため、新規参入のハードルも比較的低いということです。
リンガーハットや、宮崎牛や、韓国料理、スペインのパエリア、タイのガパオライス
フランス料理など、個性豊かな商品が、ど冷えもんで提供されているようです。
私も最近よく見かける、餃子や、お肉、ラーメンの自販機はど冷えもんが普及しているせいだったということがこれでわかりました。
自動販売機市場5兆円という市場規模は大きいですし、遠隔で在庫を確認できて、人を雇わなくても24時間働いてくれます。太陽光発電などを利用して、さらに電気代が抑えることができればさらなる生産性向上に貢献するのではないでしょうか。
魅力のある市場と考えます。
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